「東京総合保健福祉センター 江古田の森」が竣工しました。
弊社、設計監理の「東京総合保健福祉センター 江古田の森」が2007年4月に施設としての事業開始となりました。
当施設は、旧厚生省中野療養所敷地の跡地利用のため、平成10年11月に中野区の「江古田の森整備特別委員会」の設置から土地利用の検討が始まり、平成15年7月に、PFI法に基づいた民間活力導入の決定により計画された保健福祉施設です。
本計画を進めるに当り、この豊かな自然の残る「江古田の森」との調和を基本とし、公園と一体となった連続性のある建物計画を目指しました。
また、施設要求事項として決定された「介護老人保健施設」「介護老人福祉施設」「小規模身体障害者療護施設」「知的障害者入所更生施設」「地域交流スペース」の5施設を如何に複合化し、使いやすい建物を造るかを最大の目標として掲げています。
<設計方針>
- 「江古田の森」との調和の取れた施設とする。
- 明快な構成、ユニバーサルデザインの施設とする。
- 安全で快適な生活を送ることが出来る施設とする。
- 家庭的な雰囲気を持った空間構成のある施設とする。
- 区民との交流ができる、開かれた施設とする。
- サスティナブルデザインとし、環境にやさしい施設とする。
Ⅰ:配置計画
隣接して整備される「北部防災公園」と一体感を持たせ、「豊かな自然との調和」を目指し、行き来が自由になる様な開放的な自由通路(ピロティ)の設置、公園の芝生広場に続く菜園、散策路(遊歩道)等を整備します。また、北側の公園に続く既存樹林を極力保存するため、建物は前面道路側に配置しました。
Ⅱ:フロアー構成
この建物は介護老人保健施設、介護老人福祉施設、障害者施設(身体・知的)、地域交流スペースの複合施設となるため、安全で快適に暮らすために、ゾーニングは明快な構成とする必要がありました。各施設を「重層的な合築」と考え、1又は2フロアーごとに施設を完結させ、明快で快適な構成とし、下層階に介護度の比較的高い施設を設け、災害時の避難を容易にしています。
Ⅲ:平面計画
建物を3棟に分割し、外気に面する部屋を多く確保することで、通風による自然換気を最大限に活用し、大きな掃き出し窓を設けることにより外光をふんだんに取り入れ、北側の部屋はペアガラスを採用することにより冬季のコールドドラフト(暖房時に生じる室内の温度差)を防ぎます。
入居階は、個室を中心にユニットケア方式を取り入れ、小規模で家庭的なグループで暮らせるように、それぞれリビング・ダイニングを設け、食事の準備などを自分でも行なえるように車椅子対応の流し台を設けています。
Ⅳ:仕上計画
外壁は「江古田の森」との調和を考えアースカラーのタイルを採用し、外部床には石・タイル調のデザインクリートを、遊歩道、パーゴラ、ベンチ等も自然調の材料で仕上げました。内部の居住部分は家庭的な雰囲気を持たせるためにフローリング調の床材、腰壁には木製パネルを用いて暖かみを演出しました。
Ⅴ:構造・設備計画
耐震性、施工性、経済性、耐久性を総合的に把握し、バランスの取れた計画としています。公共性の高さを考慮し、大地震などに対しては人命の安全性はもとより、施設を崩壊させない丈夫な建築物とするために、用途係数を1.25としています。電気、機械設備についても、利便性、快適性、安全性などに十分配慮し、また、省エネルギーを考慮した計画としています。
【建築概要】
- 敷地面積
- 9,550m2
- 建築面積
- 9,550.21m2
- 延床面積
- 18,522.43m2
- 建ぺい率
- 41.14%
- 容積率
- 193.95%
- 構造規模
- RC造 地下1階 地上7階建
- 最高高さ
- 26.02m
- 軒高
- 25.52m
- 天井高さ
- 2.4m(個室)
- 道路幅員
- 12m
- 駐車台数
- 26台
- 地域地区
- 第一種中高層住居専用地域
- 主要用途
- 介護老人保健施設(100床)
特別養護老人ホーム(長期100床)
特別養護老人ホーム(短期20床)
軽費老人ホーム(60床)
通所リバビリt-ション(40人)
通所介護事業(40人)
施設入所支援(知的障害30床)
施設入所支援(身体障害10床)
短期入所事業(知的障害 2床)
短期入所事業(身体障害 2床)
通所事業所(知的障害15人)
通所事業所(身体障害15人)
- その他
- ヘルパーステーション
居宅介護支援センター
訪問リハビリ・訪問看護
地域交流スペース
- 建築工事
- 熊谷組
- 電気工事
- (株)サンテック
- 空調工事
- 大成温調株式会社
- 衛生工事
- 東洋熱工業株式会社
- 建築主
- 社会福祉法人 南東北福祉事業団