平成24年6月20日付け建設経済新聞に、弊社設計・監理案件の「東京都健康安全研究センター本館新築」の記事が掲載されました。
「東京都健康安全研究センター」は都民の健康を守るため、食品、医薬品、生活環境、飲料水等の日々の安全確保と感染症など新たな健康危機への備えの両面から、保健衛生行政の中核の役割を担う拠点として、重要な役割を果たす施設です。
今回、既存施設の老朽化や保健衛生行政の体制整備の必要性から、「新館B棟」を新たに建設し、敷地内にある「既存A棟」と接続させて、研究施設として一体利用が出来る条件で計画を開始しました。
-基本コンセプト-
設計にあたっては。特に①「研究内容の変化に柔軟に対応できる施設計画」、➁「地域性に配慮した施設計画」、③「施設の安全性と信頼性を確保した施設計画」を基本的なコンセプトとしました。
①「研究内容の変化に柔軟に対応できる施設」
東西面の妻側両端に耐震上優れた、鋼製アンボンドブレースを設け、階段室コア部分の壁を体力構造壁とすることにより、各実験研究室エリアは壁のないフレキシブルで大きなスペースを確保しました。
南北面には外部ダクト、配管等の保守点検及び、省エネのための日照調整機能を備えた点検歩廊と設備シャフトを計画し、日常のメンテナンス性の向上とともに、将来のダクトや配管類等の更新などが容易に対応できる計画となっています。
内部廊下の天井は脱着可能で点検が容易な格子天井を、研究室内の天井はシステムグリット方式の採用により、メンテナンス性の向上を図っています。
②「地域性に配慮した施設」
配置計画は北側の住宅地に配慮して、日影の影響が最も少ない敷地南寄りに建物を配置しました。建物外観は新宿区の景観条例を踏まえて、全体的にグレーを基調としたアースカラーにし、公共施設として地域周辺の落ち着いたまちなみに配慮しています。
③「施設の安全性と信頼性を確保した施設計画」
災害時にも安定した電源供給が行えるよう、スポットネットワーク3回線受電としています。停電時には非常用発電機による施設の機能維持と無停電電源装置による重要な実験データの確保など、バックアップ機能を有する計画とし、継続的に実験や保存が可能な設計を行いました。
妻側両端の鋼製アンボンドブレースは視覚的にみせる計画とし、建物の安全性を強調するとともに、地域の道標としての機能を持たせた計画としています。
【建築概要】
- 所在地
- 東京都新宿区百人町3-24-1
- 敷地面積
- 12,386.35m2
- 建築面積
- 2,075.10m2
- 延床面積
- 17,940.90m2
- 構造規模
- SRC造 7階建/地下2階/塔屋2階
- 用 途
- 研究所
- 用途地域
- 第1種中高層住居専用地域
- 建築主
- 東京都